だから何ですか?
『俺と凛生にはまだお前が知らない繋がりがあるんだよ。残念なことに・・・場合によってはお前より優先されるかもね』
「っ・・・・」
浮上したのは訳知り顔で、全てを理解し把握し、更には同情的にも笑って見せた海音の姿。
故意に・・・か?
どちらが優先されるか見せつけたかった?
亜豆の事だ、木曜の俺との予定を海音に話ていてもおかしくない。
それを敢えてふいにするように亜豆に誘いをかけた?
それがそうだとしても、亜豆もそれに従った。
俺より・・・海音を優先させたわけだ。
「・・・ふざけるな」
「えっ?あ、・・おい?」
驚くほど低く重苦しい声音で感情が零れ落ちた。
それが引き金の様に井田を振りほどくとブースの外へ。
背後で『何だよ』なんて井田のすっ頓狂な疑問の声が聞こえるも耳に残らず抜けていく。
もうすぐ始業時間なんて概念も完全に飛んで荒立った感情のままに歩みを進めてエレベーターホールへ。
本当にふざけるな。
人を振り回すのも大概にしろ。
俺への対応は散々な程、着信には応じないしメールも必要最低限、少しでも迫れば何かと理由を付けて拒んでくる。
それなのに海音には何でも話すのかよ。
メールも電話もして、俺との約束をふいにしてでも会う時間を作るのかよ。
そんな極端な差を見せつけておいて、いい加減『好き』だなんて言葉一つで騙される筈ないだろう。