だから何ですか?
まだ形としてなっていなくとも、お互いに下心知って尚の逢瀬はデートというものだろう。
ああ、何だかますますわからない。
人の事を『好き』だなんだ言っておいて、サラッと他の男とデートもして満喫してるんじゃねぇか。
「やっぱり、嫌がらせとしか思えねぇ」
憤りの再燃焼と言うのか、ジワリと込み上げた感情のままに吐きだされた言葉は勢いはなくとも低く恨みに満ちているような。
ふざけるな!と怨念を込めたのは認めよう。
そんな俺の一言と一睨みにキョトンとしている亜豆を一瞬は視界に収め、次の瞬間にはまったく他人の賑わいに移行した。
もう関わりたくない。という感情に素直に行動して2人の前からその身を外したに過ぎない。
勝手に2人で楽しめばいい。
そもそもデートなんだろ?俺がいたところで邪魔だしな。
なんて事を何故が心でぶつぶつと呟き苛立ちの足取りで酔った人間を縫って歩いていたというのに。
「っ・・・あぁっ!?」
違和感を感じたのは首の後ろ。
不意に強引に進行方向とは真逆に引き戻されたのは自分のジャケットで。
身につけているのだからそれが引き戻されれば体だって止まらざるを得ない。
元々不機嫌に歩いていたのだ、そんな礼儀知らずな引き止めには当然さらに不愉快を露わにして振り返って、すでに予測の立っていた犯人を睨み下しながら腕を組んだ。
視界に捉えるのは俺と同じように腕を組んで見上げる亜豆なのは言うまでもない。