だから何ですか?
「なかなか戻ってこないから神隠しにあったのか、もっと運命的な出会いをして駆け落ちでもしたのかと思ったよ」
「社長、それ本気で言っているのでしたら歯が浮くセリフ吐く痛い人ですよ」
俺の驚愕とか戸惑いなんてお構いなし、並び合った2人はすでに出来上がった息の良いような会話を成してクスリと笑う。
いや、亜豆は秘書なんだから社長である海音とは他の社員よりは親しいのかもしれないけれど。
それでもまさか勤務外でも行動を共にしているほどの親密さには驚愕に目を丸くせざるを得なかったと言うのか。
しばらくは阿呆みたいに呆けて、それでもようやく確かめる様に交互に2人を指さすと、
「えっと・・・何?そっちも偶然の遭遇で一緒に飲み始めてような・・流れとか?」
「いや、きちんと礼儀を持って口説いてこの時間を設けているよ。亜豆を口説くのはかなり骨なんだけどね」
「そうですか?案外簡単にお誘い乗りますよ。・・・給料日前であるなら特に」
「あはは、この通り、軽く財布代わりに扱われててつれないんだけどね。なかなか関係を進展させてはくれないから逆に燃えるんだけど」
あっ、本気の目だ。
そう感じてしまった友人の貪欲な眼差しの対象はさらりとそれを受け流している亜豆で。
つまりは亜豆も海音のそれを理解してなおこの時間を共有していて。
こういう時間をなんて言うのか知ってるか?
普通は・・・デートっていうものだろう?