だから何ですか?
そのまま追い詰める様にチラリと遠目に映る海音を一瞥してから、
「好きだの何だの言う癖にちゃっかり他の男とデートしてるんじゃねぇか」
「・・・・」
「海音の下心に気付いてないなんてウブな女発言は認めないからな。しっかり大人の絶妙な駆け引きしてサラッと他の男と遊んで、その口で『好き』だのなんだの言われても嫌がらせにしか感じない」
「・・・・」
「馬鹿にするな」
はっきりと嫌悪を込めて。
もう『好き』だなんて言えなくなるほど拒絶的な態度で物を言ったと思う。
これであらぬ噂が立とうが構わない。
酷い男なんだとある事ない事彼女が陰で喚き散らして広がろうがどうでもいい。
そんな事を思ってチラリと周りに視線を走らせれば、完全に酔っている人間は別にほろ酔い程度の客がチラチラとこちらのやり取りを捉えてぼそぼそと何かを言っている。
ああ、もう面倒くせぇ。
本来鬱憤を晴らすべく場所で何してるんだ俺。
と、溜めこんだ葛藤を少しでも軽減しようと深く息を吐きだし、片手で髪を掻き上げる様に頭を抱えたタイミング。
「なんだ・・・つまるところ、」
「あっ?」
「嫉妬ですか?」
「・・・・・」
「あなたに『好き』だと言った私が社長とデートしているから面白くないと。そういうことでしょう?」
『違うっ!!』
と、はっきりきっぱり否定したいと勢いばかりは募るのに、それを言い表すための言葉が上手くまとまらないでフリーズしてしまった。