だから何ですか?
『どこまで都合よしなんだ!』
そう叫ぶのが一番適切だろうか?
でもそれを叫ぶにしてもタイミングがもうズレすぎている。
勢い良く返せる間合いではなくなってしまって、それすらにも重苦しい溜め息を吐きだすと、
「嫉妬じゃない」
「そうですか?」
「ただ、いい加減な女だって思っただけだ」
「私がですか?何故?」
「・・・・・・お前、本当は俺の事嫌いだろ?」
その結論しか生まれない。
だからこそ馬鹿の一つ覚えの様に何かある度に口をついて出てしまう。
でも、対峙する彼女も同じような物で、それこそ馬鹿の一つ覚えの様に、
「好きですよ」
「・・・分かんねぇ」
もう面倒くせぇ。
思考するのも、むしろ立ってる事さえも面倒だと思ってしまって、ふらりとしながらすぐ近くにあった壁に寄りかかって顔を片手で覆う。
それでも手で覆った目の視線は下に落ちていても足元だけは捉えていて。
聴覚に何故か際立って響くピンヒールの靴音と視覚に焼き付く俺の足元に向かい合う様に入り込んだつま先。
それだけで対面している距離は近いのだと理解する。
煙草を吸っていた時の距離を大幅に越えて随分と踏み込まれた距離間。