だから何ですか?
冷静にそんな事を思った頭と耳に、
「好きですよ」
聞きなれた筈の響きが鼓膜に大きく波紋を広げる様に作用する。
良くも悪くも大きく響く。
不愉快さえも交えている響きなのに彼女の都合よく俺の耳に慣れない違和感のある響きとして凛と残る。
言われる度に不愉快で嫌悪して反応せざるを得ないような。
それを示す様に目を覆っていた手を僅かにずらし、睨み挑むような眼差しで目の前の彼女を視界に映した。
捉えたのは、またあの腹の立つ笑み。
・・・では、なく。
「っ・・・」
息を飲んで・・・そのまま呼吸を忘れた数秒間。
予想していたのは俺の反応に、言動行動に余裕綽々とばかりに笑む彼女だと思っていたのだ。
それでも実際は、
憂いを帯びた双眸が印象的、眉も言葉を発する唇ももどかし気に形を成して。
頬から目元にほんのり色づく赤は気のせいなのか、店の明かりの錯覚か。
ドクンと、強く痛く心臓が跳ねあがり、追い打ちの様に体に走った悪寒はなんなのか。
本当に、なんなのか。
この女。
どこまで人を振り回して困惑させて・・・、