だから何ですか?
勘違いだと思いたくともしっかり残る感触が残酷で、無意識に口元を押さえ驚愕に満ちていると。
「好きです、」
「っ・・・・」
「伊万里さんの事が・・・好きです」
「お・・だ・・、あの、俺、」
「伊万里さんも、」
「っ・・・」
「私の事、好きだって感じてたのに、」
「・・・・」
「私の・・・都合のいい勘違いですか?」
違いますよね?
そんな憂いを帯びた表情に一瞬言葉を失い、見事飲まれての沈黙の対峙。
勘違いとは返せない。
確かにお互いに誤魔化すでもなくどこか好意をもって過ごしていた関係だ。
それを否定するのは嘘であり卑怯であり。
だからこそ否定の言葉は口から溢れず、それでも突如のこの時間に固まったままでいれば。
再び静かに寄せられる顔の距離。
ゆっくり近づいて、至近距離に小田の整った顔立ちを捉えて。
好きだった。
確かに、好き【だった】。
「っ・・・伊万里・・さん?」
過去形になったばかりの感情だけども、それが逆戻りして今にしたいと思わない。
そんな結論が不動の内に出て、言葉より早く近づいていた小田の唇に手を添え接触の拒否。
至近距離で捉える戸惑い揺れる双眸には申し訳ないという笑みしか浮かばない。