だから何ですか?
「伊万里さんっ、」
そんな呼びかけにフッと笑みだけ残して控え室を足早に去り始める。
残されて何をどう思うのか。
・・・なんて、優しい同情的思考すら働かない。
むしろ既に頭は亜豆の事ばかりで、こちらから発信し耳にコール音を繰り返し流しても全くの無反応。
きっと意図的だと思ってしまうのは今までの時間もあったからだろう。
ああ、クソッともどかしく思うことすらが彼女の策の様にも思えて、急いで【今向かってる】とメールをしても無反応。
もしかしたら、さすがに怒っているのかもしれない。
携帯を忘れてたら?と一抹の不安がないわけでもない。
とにかく急がなくては、と、デパートの外に身を出して、肌に噛み付いてきた寒気に目を細めながらタクシー乗り場へ。
運良く1台残っていたそれに乗り込み目的地を告げて運転を急かした。