だから何ですか?
見事、見慣れぬ姿に見惚れて固まるも、すぐに現場を思い出して気まずくなる。
と、言うより信じられない感覚もありきで、ゆっくり亜豆を振り返り、改めて存在を確かめ認めると、
「驚いた・・・。何で・・居るんだよ」
帰ったと思っていたのに、てっきりさすがに愛想をつかしたかと。
そんな感覚で口元を押さえ、よく分からない息を深く吐き出すと、キョトンとしていた亜豆が更に小首を傾げて片眉を上げる。
「何で居るのかって・・・約束してましたよね?」
「いや、そうだけど。だって、時間もかなり過ぎてるし。・・・さすがに帰ったと」
「帰る?何で?」
「・・・何でって、」
「帰りませんよ。伊万里さんが来るの分かってるのに、帰るわけないじゃないですか」
「っ・・・」
変な人。という様にクスクスっと笑った亜豆の頬や鼻は赤い。
笑顔と言葉と、待っていた時間が明確になる肌の赤みに言いようがない程感極まって、言葉より早く動いた両手が亜豆の頬をそっと包んだ。
「馬鹿・・・怒って帰ればいいんだよ。体冷やしてまでここに居なくても、俺に謝りに家こさせりゃいいんだよ」
ここに居なければ当然そうしてた。
むしろそうしててくれた方が幾分気が楽になったか。