だから何ですか?





寒さの中で待たせるよりずっといい。


居て欲しいと思う反面で居なければいいとも思って・・・。


いや、違う。


居なければいいと思うのに、居るだろうとよく分からない確信に突き動かされてここに来たんだ。


来てみれば・・・結局居やがる。


そんな現場にもどかしく言葉に詰まっていれば、



「本当に・・・待つのは苦じゃないんです」



凛と響いた亜豆の迷いのない一言。


それを言った姿も噓偽りなく、酷く穏やかに俺を見つめ上げてほのかに口の端をあげてくる。



「来ると分かってる人を待つのは苦じゃない」


「来ないかもしれねぇだろ」


「でも、来ましたよね」


「それは結果論だろ。普通、」


「・・・だったら、質問を変えます」


「あっ?」


「何で・・・ここに来たんですか?」


「何でって・・・約束だったからだ」


「時間もかなりすぎてますよ?さすがに帰ったと思いません?」



そこまで返されてしまえば力なく笑うほかない。


亜豆が理屈でなく来ると思って待っていたように、俺も理屈じゃなく亜豆は待ってると思ってここに来た。



「待つのは苦じゃない。むしろ、待ってると分かってる人を待たせる事の方が気が急いて、疲れて、痛かったんじゃないですか?」


「っ・・・お前・・本当・・、」



言葉にならない。


逆に、労わる様に俺の頬に触れてきた指先は冷たいのに、寒い中散々待たされてキツくない筈がないのに、俺の方が辛かった様に返され見つめあげてくる顔は無表情じゃなく、不満顔でもなく、柔らかい笑みだなんて。


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