だから何ですか?
そんな俺の唇にお返しだと言わんばかりの啄みを返すと、更に唇をしっとりと舐めてきて、
「キスしたなんて嫉妬を煽って、」
「フッ、なんだかんだ・・・そこも嫉妬してくれてた?」
「当たり前です。それに、」
「それに?・・・何?」
「・・・・・・・・・チョコレート・・」
「・・・・・」
もどかし気に発せられたお互いに今感じている甘味の名前。
まったく説明のない名称だけの言葉でも充分に通じて熱くなるから困る。
「・・・・・・亜豆、」
「しましょう」
「っ・・・・」
「伊万里さんの家・・・行って・・・いいですか?」
躊躇いがち、それに軽く震えた声音に欲情煽られきつく抱き寄せた。
「っ・・・・早く観覧車終われ、」
「フッ・・フフッ・・・笑わさないで、」
「も・・・喋るな。・・・煽られる」
「伊万里さん、」
「っ・・・喋るなって、」
「・・・煽ってるんです」
「っ・・・」
してやったり。
震えた声の癖にそんな言い回しをした亜豆が俺の耳元に更に唇を寄せて。
「キスされたいです」
そんな記憶にもしっかり焼き付いていた言葉を再び落として誘惑して。
口づけたのは奇跡的でドラマ的な観覧車のてっぺんとかではなくすでに下がり始めていた夢の無いタイミング。
足元には散らばったオーナメント、ツリーは中途半端に飾り付けられスイーツすらいつでも買えるコンビニの物だ。
どこまでも・・・鮮明であろうクリスマスの記憶が焼き付いた。