だから何ですか?
絡んだ視線の双眸は今にも溶けて落ちそうだと感じてしまう程涙の膜で潤んでいて。


目の縁から耳の先まで赤い肌は今にも発火するんじゃないかというほど熱を鮮明に見せる。



「・・・凛生」


「っ・・・」



今度は、意地悪な意図などない。


俺が思わず呼びたいと口から零した響き。


自分でもその呼ぶ声に渇望の感情を絡めていたのが分かる。


好きで好きで・・・好きすぎて。


腕の中に居るのにどこかまだ捕まえきっていない気がして。



「凛生・・・」


「んっ・・・・」



名前を呼んだだけで、

ほんの少し頬を指先で撫でただけで、

堪え切れないと目を細めた彼女の姿に胸が焼け落ちた。



「り__」


「ダメっ、」


「っ・・・」


「名前・・・呼んじゃ・・・ダメ・・」


「・・・・何で?」



再びもどかしい感情のままにその名を響かせ始めたタイミングに、遮るように声を張った彼女を疑問の眼差しで覗き込む。


もしかして名前で呼ばれるのが嫌いなんだろうか?なんて事まで浮上させその返答を待っていると。



「・・・・呼ばれる度・・」


「うん、」


「・・・・・おかしくなりそ・・」


「・・・・・」


「凛生って・・名前が・・・・・物凄く特別な気がして・・好きになりそうで・・・」


「っ・・・・」


「っ・・・・」


「り・・亜豆?」


「・・・・・・・駄目。・・・やっぱり名前で呼んで」



もどかしさを叫ぶような表情で、声で、『やっぱり・・・』と言いながら縋るように俺の首に腕を巻きつけてきた姿に陥落。


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