だから何ですか?
脳裏に浮かんだのはさっきの亜豆の言葉で、思わず反論するように口から弾かれてしまった言葉。
それに反応して先に前を歩いていた小田が「んっ?」と言いながら振り返ってくるから我に返る。
そんな俺をわざわざ体事振り返ると確かめる様に覗き込んできて、
「・・・さっき、何かあった?」
「・・・何で?」
「いや、亜豆さんと何かあったのかな?って。そう言えば昼も悪態ついてたし。・・・揉め事?」
「揉め事っていうか・・・価値観の相違?」
「なんかよく分かんないけど、そっか」
嘘は言っていないはずだ。
さすがに、告白されて、放置されて、それについての価値観相違だとは説明できず掻い摘んで彼女に告げれば。
そこは深く根掘り葉掘り追及するような性格じゃない。
そっかと言って納得を見せるとにっこり笑って俺の腕をポンポンと叩いてくる。
あ、・・・可愛い。
やっぱり、ペースを分かっていて一緒に居て落ち着くと再確認するような彼女の存在。
荒ぶって疲れていた心が酷く癒されたような。
『戻りましょう』なんて言ってにっこりと背を向け歩きだす姿に倣え。
後を追う様に歩きだして小柄な彼女の後姿を何の気なしに見つめてしまう。