湖にうつる月~初めての恋はあなたと
ほろ苦い抹茶が口の中に広がる。
生クリームがその抹茶の風味を損なうことなくまろやかな味に中和してくれている。
「おいし」
小さく声がもれる。
自分で作って自分でおいしいだなんて自画自賛だよね。
思わず自分の口を押さえて恥ずかしくなる。
「いいね。自画自賛」
澤井さんがコーヒーカップを傾けながらいたずらっぽく笑った。
「すみません」
「ほらまた謝った。これから謝ったら一回ずつお仕置き考えないとな」
「お仕置き?」
「例えば」
そう言いながら澤井さんは椅子を引いて立ち上がり私の隣へやってきた。
「例えばこんなお仕置きはどう?」
それはとても突然で、拒否するとかしないとか、悩む時間もないほどで。
彼にすっと肩を抱かれ、彼の顔が近づいてきたかと思うと私のおでこにやわらかくて温かいものが触れた。
おでこに彼の唇が触れている。雷に打たれたらこんな感じなんだろうか。
おでこからストンと足下に電気が通り抜けたような感覚だった。
そしてすぐにその唇は離れ、澤井さんは私の硬直した姿を見て吹き出した。
「ごめん。でも真琴があまりにもいつも謝るからこれくらいしないと止めないだろ?」
「や、止めないとか、そういうことじゃなくて」
声が震えていた。
顔が熱い。体中がドキドキしてる。
おでこにキスされただけなのに、免疫のない私はファーストキスされたみたいにどうしていいかわからなくなっていた。
「次、謝ったら・・・そうだな、瞼。三回目の『すみません』は唇にするかもしれないから気をつけて」
澤井さんは自分の人差し指でそっと私の唇を撫でた。
冷たくて長い彼の指。そして彼のきれいな瞳が私を見つめている。
顔が熱くなったまま恥ずかしさと緊張で言い返す言葉が出てこない。
男の人って、皆こうなの?
好きでもない女性に簡単にキスできるものなの?
その時澤井さんの瞳がふと力を落としたように見えた。
「でも、唇のキスは真琴が本当に好きな人じゃなきゃダメだな。瞼までで卒業しろよ」
そう言って、私の頭を軽くポンポンと叩くとようやく自分の席に戻った。
生クリームがその抹茶の風味を損なうことなくまろやかな味に中和してくれている。
「おいし」
小さく声がもれる。
自分で作って自分でおいしいだなんて自画自賛だよね。
思わず自分の口を押さえて恥ずかしくなる。
「いいね。自画自賛」
澤井さんがコーヒーカップを傾けながらいたずらっぽく笑った。
「すみません」
「ほらまた謝った。これから謝ったら一回ずつお仕置き考えないとな」
「お仕置き?」
「例えば」
そう言いながら澤井さんは椅子を引いて立ち上がり私の隣へやってきた。
「例えばこんなお仕置きはどう?」
それはとても突然で、拒否するとかしないとか、悩む時間もないほどで。
彼にすっと肩を抱かれ、彼の顔が近づいてきたかと思うと私のおでこにやわらかくて温かいものが触れた。
おでこに彼の唇が触れている。雷に打たれたらこんな感じなんだろうか。
おでこからストンと足下に電気が通り抜けたような感覚だった。
そしてすぐにその唇は離れ、澤井さんは私の硬直した姿を見て吹き出した。
「ごめん。でも真琴があまりにもいつも謝るからこれくらいしないと止めないだろ?」
「や、止めないとか、そういうことじゃなくて」
声が震えていた。
顔が熱い。体中がドキドキしてる。
おでこにキスされただけなのに、免疫のない私はファーストキスされたみたいにどうしていいかわからなくなっていた。
「次、謝ったら・・・そうだな、瞼。三回目の『すみません』は唇にするかもしれないから気をつけて」
澤井さんは自分の人差し指でそっと私の唇を撫でた。
冷たくて長い彼の指。そして彼のきれいな瞳が私を見つめている。
顔が熱くなったまま恥ずかしさと緊張で言い返す言葉が出てこない。
男の人って、皆こうなの?
好きでもない女性に簡単にキスできるものなの?
その時澤井さんの瞳がふと力を落としたように見えた。
「でも、唇のキスは真琴が本当に好きな人じゃなきゃダメだな。瞼までで卒業しろよ」
そう言って、私の頭を軽くポンポンと叩くとようやく自分の席に戻った。