湖にうつる月~初めての恋はあなたと
「このロールケーキも真琴が作ったの?」
澤井さんはケーキを手に取ってかぶりつく。
豪快な食べ方と品のいい姿形とのギャップに戸惑いながら首を横に振った。
「ケーキは父が焼きました。家を出る時持たせてくれたんです」
「ん、どうりで。素人が作る味じゃないなぁと思った。この風味は和三盆かな」
さすが。
「はい、和三盆ロールケーキです」
「おいしいよ。抹茶プリンも素朴でおいしかったけど、こっちも間違いなくうまい」
「素朴・・・」
「素朴が悪いとは言ってない。俺は素朴な味の方が好きだよ」
私を見つめながら、微笑む彼から目を逸らす。
まだおでこがジンジンと脈打っている。
私がこんなにも動揺しているのに、しらっとした顔でロールケーキ食べれるなんて、やっぱり私をはじめ女性には全く意識が向いていないんだ。
そういう彼に少しホッとしながらも、落ち込んでいる自分もいた。
「さて、この後どうしようか?」
澤井さんはそう言うと、コーヒーを飲む手を止め窓の外に目を向けた。
「やばいな」
「やばい?」
私も体を後ろに向け窓の外に目をやると、さっきまでの青空はどこへやら、真っ黒な雲が空一面覆い尽くしていた。
「降りそうだね。かなりきつい雨が」
「ええ、今にも降りそうですね」
そう言った途端、窓にポツンポツンと大きな水玉が飛んできた。
そのうちその水玉の数が瞬く間に増えていき、一気にどしゃぶりの雨が降り出した。
澤井さんは手にしたスマホに目をやりながら顔をしかめた。
「この辺りはしばらく豪雨が続くみたいだ。警報も出ているし今は外に出ない方がよさそうだな」
澤井さんはケーキを手に取ってかぶりつく。
豪快な食べ方と品のいい姿形とのギャップに戸惑いながら首を横に振った。
「ケーキは父が焼きました。家を出る時持たせてくれたんです」
「ん、どうりで。素人が作る味じゃないなぁと思った。この風味は和三盆かな」
さすが。
「はい、和三盆ロールケーキです」
「おいしいよ。抹茶プリンも素朴でおいしかったけど、こっちも間違いなくうまい」
「素朴・・・」
「素朴が悪いとは言ってない。俺は素朴な味の方が好きだよ」
私を見つめながら、微笑む彼から目を逸らす。
まだおでこがジンジンと脈打っている。
私がこんなにも動揺しているのに、しらっとした顔でロールケーキ食べれるなんて、やっぱり私をはじめ女性には全く意識が向いていないんだ。
そういう彼に少しホッとしながらも、落ち込んでいる自分もいた。
「さて、この後どうしようか?」
澤井さんはそう言うと、コーヒーを飲む手を止め窓の外に目を向けた。
「やばいな」
「やばい?」
私も体を後ろに向け窓の外に目をやると、さっきまでの青空はどこへやら、真っ黒な雲が空一面覆い尽くしていた。
「降りそうだね。かなりきつい雨が」
「ええ、今にも降りそうですね」
そう言った途端、窓にポツンポツンと大きな水玉が飛んできた。
そのうちその水玉の数が瞬く間に増えていき、一気にどしゃぶりの雨が降り出した。
澤井さんは手にしたスマホに目をやりながら顔をしかめた。
「この辺りはしばらく豪雨が続くみたいだ。警報も出ているし今は外に出ない方がよさそうだな」