彼氏の上手なつくりか譚





「上川くん」


「なんだ? ギブか?」


「いや、そうじゃなくて、上川くんは一瞬の幸せと永遠の幸せならどっちとる?」


「なんだそれ」と上川くんは笑ったけど、私の真面目な顔を見て、それに応えるように笑うのをやめて言った。


「どっち道、幸せなんだろ? だったら一瞬でも永遠でも幸せは幸せじゃん」


なるほど、どっち道幸せ……かあ。


そうなのかもしれない。いや、むしろ、一瞬の幸せの方がどっちかというと、価値があるものなのかもしれない。


幸せは長く続かない。むしろ長く続くとひょっとして、これは幸せじゃなくて、ただの日常の一部に過ぎないんじゃないかと私なら思う。


慣れてしまうのだ、幸せであることに。


私は病気をしていない。お腹が空けば、ご飯が食べられる。


そんな当たり前でも、世界のどこかにはそれを幸せなことだと思う人だっているのだ。




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