彼氏の上手なつくりか譚





こんなこと、他人に聞いたって、「知らねえよ(笑)」という反応が普通だと思う。


でも、下村くん、優しいから、


「そうだねえ……うーん……」


と一緒になって考えてくれる。一緒になって悩んでくれる。


「ねえ、山田さん、まだ時間あるかな?」


「生憎だけど、今となっては1分1秒でも惜しい……」


「そ、そうかもしれないけど、ほんのちょっとでいいから、山田さんのその貴重な時間を僕に預けてくれないかな?」


「ま、まあ、そこまで言うなら……」


下村くんの後をついていく。その足取りは重い。


まるでそれは、両足に5キロの重りをつけて歩いているかのように……。




< 501 / 525 >

この作品をシェア

pagetop