彼氏の上手なつくりか譚





「ここだよ」


ここって……。


「文芸部……?」


「そう。僕の修業の場だよ」


下村くんに続いて、中に入る。


部屋には、部員だろうか、メガネをかけた女の子が一人座っていて、部屋の真ん中には、長机がコの字型に並んでいて、その上に何かの冊子が積み重なっていた。


下村くんはその中の1冊を私にくれた。


「これ、何?」


「文集だよ」


「饗宴」というタイトルが書かれた青い冊子の表紙には、鉛筆を持った男の子のイラストが描かれていた。


周りには原稿用紙が舞っていて、その原稿用紙一枚、一枚には、男女の真ん中にハートが描かれたイラスト、死神が鎌を持っているイラスト、魔女が杖を振り回しているイラストなどが描かれていた。




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