彼氏の上手なつくりか譚





2000年4月2日の早朝。


母の子宮から顔を出した時のことを、僕は今でもはっきりと覚えている。


暗くて、それでいて落ち着く水の中。そこに一筋の光が差した。


僕はその穴をのぞき込もうとした。


すると、その奥に、これまでに見たことがない景色が広がっていた。


これはいったい、何だろう。この先にはいったい、何があるんだろう。


僕は知りたくなった。


ただ、水の中でじっとしていることしか知らなかった僕が持った、初めての感情。


それは、興味だった。




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