愛してるからこそ手放す恋もある
散歩と聞いてついて来たものの、駅へ向かい電車に乗り、そして着いた所は会社だった。

え？
なぜ？
会社なの？
彼の来日予定は来週の筈。

いや、既に来日はしている。しているが、それはまだ極秘である。

「小野田さん、もう、顔出されるのですか？予定ではまだの筈では？」

「うん！だから会社の中を散歩」

「はぁ？」

小野田さんは持っていた入館証を首に下げ階段を下へと下りた。
そして立ち止まった先は、我社が委託してる清掃会社の管理室のドア。

え？

そして小野田さんはそのドアを開ける。

「おはようございます！」

「あら、こうちゃん今日も来たのかい？」

こうちゃん…？

「えっ！？今日もって…昨日も来たんですか！？」

「まぁな！隠される前に先に動く、相手を知る上での鉄則だろ！？」

鉄則だろ！？って知りませんよ…

小野田さんは清掃会社の作業着に着替えを済ませると作業員のおじさんについて行った。

私もついていくと言ったが、「顔が知れている私は足手まとい」と言われてしまった。
なにも用の無くなってしまった私は通常業務へ向かうべくエレベーターへ乗った。




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