愛してるからこそ手放す恋もある
突然開いたドアから作業着を着た小野田さんが入ってきた。

「まぁぺらぺらと個人情報を話してくれて…この会社はどうなってるんだ!?」

「小野田さん…」

愛する人に裏切られてどんなに辛かったことか…
なんと言葉をかけたら良いか分からない。

「なに?菱野から話聞いて、俺を憐れんでんの?そういえば、昔、ドラマだかの再放送で、あったな?『同情するなら金をくれ!』だったか?だが、俺は金も地位も持ってるんで!安っぽい同情は要らないから!」

そうね?
安っぽい同情なんて要らない。
それは私が一番知ってる筈…

「同情なんてしませんよ!?私は貴方じゃないし、貴方がどれだけ苦しんだかなんて分かりっこないですから!ただ、回りに迷惑だけはかけないで下さい!」

「言われなくても迷惑かけねぇよ!寧ろ迷惑かけてるのはお前らの方だろ!?」

「なっなんですって!?みんな頑張ってるんです!」

「頑張ってこの程度なら、はやく潰しちまった方がいいな!?」

なんて事を…

『バッチン』

「俺に手を上げてこのままで済むと思うなよ!?」

「知るかバカ!」

「バッバカ!?」

「馬鹿だからバカって言うのよ!」

「バカはお前だろ!?」

『パンパン』
菱野部長は手を叩いて私達の間に入った。

「全く子供の喧嘩だな?ったく浩司も佐伯さんもいい加減にしろ!俺たちは同じ目標に向かってるんだからな!?」

ホントそうだ。ここでこの人の機嫌を損なうことは出来ない。

「言い過ぎました。すいません…」

「俺も言い過ぎた。すまん…でも梨華の剛力は今朝といい凄いな?」と苦笑する小野田さん。それに驚いた顔を向ける菱野部長。

「ちょっと待て!浩司、佐伯さんとどういう関係になってる?」

「なにが?」




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