愛してるからこそ手放す恋もある
あれ…
いつのまにか私まで眠ってしまっていた様で、目を覚ましたときには隣に居る筈の彼の姿がなかった。
「あっ!!」
慌ててリビングへ行くとソファーに座り電話をしてるボスがいた。
私に気づいたボスは「話は明日会社で!」と、電話を切った。
「専務ですか?」
「あぁ」
「ちょっと待っててください。今、コーヒーか何か淹れますから…」
ダイニングテーブルに置いていた、バックを持ち寝室へと向かう。鞄の中には病院の診察券と、投薬袋が入ってる。ボスが人の鞄の中を勝手に見るわけないが、用心の為にクローゼットの中へしまった。
「コーヒー、紅茶何にされますか?」
「いや、良い。さっき冷蔵庫の水勝手に貰ったぞ?」と言って500mlのペットボトルを見せた。
「あぁ…はい、どうぞ…」
「梨華、どっか悪いのか?」
「え?」
「鞄に薬の袋が入ってたから?」
えっ!?嘘っ…見たの?
「鞄を漁った訳じゃないからな!?誤解するなよ?ちょっと当たって鞄が床に落ちたんだ!」
「あぁ…そうですか…置きっぱなしでしたもんね?すいません…昔から頭痛持ちで、病院で痛み止を出して貰ってるんです」
嘘はついてない。
昔からの天気が悪いと頭がいたくなる。
最近は背中が痛く夜のは痛み止を飲まないと朝まで眠れない事がある。
「それだけ?また痩せたみたいだけど、大丈夫か?冷蔵庫にもレトルトパックみたいなものが沢山入ってたけど?」
あっ…
まぁあれだけ見て、わかるわけ無いけど、色々気を付けないとだな…
「ダ、ダイエット頑張ってますからね!冷蔵庫のあれも健康食品で…自分ではよく分からないんですけど、効果出てるみたいで良かった。アハハ」
先月の入院の時、腰が痛むと言って痛み止を出してもらっていた。そして今回の入院中の検査で、ヘルニアだと言われ、更に背骨に癌の転移が見つかり、来週入院して放射線を当てることになってる。
痩せたのもダイエットなんかではない。
抗がん剤を使うと、最初ほどではないが、2、3日後から副作用の倦怠感、吐き気、食欲不振が出てくる。その為ここ暫くまともなものを食べていなかった。
だから、彼に抱かれた後、辛くて寝てしまったのだ。