オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

「はぁ……」


安心したのか、体の力が抜けて、ため息が漏れた。

佐々くんは、私を抱きしめたまま、低いよく響く声で言い放つ。


「花美に触ってない奴、見逃してやる…」


耳にじゃなくて、触れてる肌から、直接、振動で伝わってくる。


「顔、覚えてるからな。二度とオレの前に出てくるんじゃねぇぞ…」


二度目の声が響いたとき、


ふわり…


私の周りの重力が消えた。

急に見晴らしが良くなる。

いつもより高い目線の前には、数十人の人だかり。

心配そうな表情は、もう、そこにはなくて、


なんか……

皆さん……

顔…赤くて、

照れた顔で…


見てはいけないものを、見てしまったような、

でも、目が離せない的な…


その……時、

はたっ…と、

ひとりのオンナの子と目が合った。

彼女と私、ふたりして、


「き…」


の、口。

そして、同時に息を吸い……


「「きゃあぁぁぁ~~~~っ!!!!」」


だって、私、お姫様抱っこされてる!?

なに?

なんなのっ!?

このスペシャル級のオンナのコ扱い!!!!


水面に落ちた水滴が、輪になって広がるみたい。

悲鳴の輪が、広がっていく。


「いやあぁぁ~~!佐々くぅ~~ん!!」

「佐々先輩ぃ!!」

「きゃああぁぁぁぁ~~~~~っ!!!!」


は……

恥ずかしすぎるっ!!

< 102 / 229 >

この作品をシェア

pagetop