嘘つきお嬢様は、愛を希う


「なにしてんだよ。早く来い」


「で、でも」


「あ? そんなに俺の隣が不満なら、好きな場所に移動させりゃいいだろうが」



そうじゃないんだって……。


むしろ理月しか顔見知りがいないこの教室で、他に移動させるなんて考えもなかった。


どこか拗ねたような物言いに内心驚きながらも、少しだけ背中を押された私は、言われるがまま理月の元へ歩いていく。


すとんと用意されていた席につくと、よりいっそう教室の中がザワザワと騒がしくなった。


……男子しかいないって、こんな感じなんだ。


女の園には慣れてるけど、それが反転するだけで全く空気の質が違う。


息が、しづらい。



「うぅ……」



全身に降り注ぐ視線攻撃から逃れるように、小さく縮こまりながら顔を俯けた──その時。

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