暴君と魔女
その行為に横たわる猫の様に目を閉じた四季が、ゆっくりと目蓋を開きまどろんだ表情で俺を見上げた。
ああ、なんて、
「・・・・・・なぁ・・・」
「・・・・・はい」
「・・・・・お前の・・・・
・・・・・目が・・・酷く好きだ・・・・・」
何を言っているんだか・・・・。
でも・・・なぜか言いたくなって、
言わないと収まらなくて・・・・・。
そうして口に出してみれば、四季の手が柔らかく甘い仕草で俺の髪をそっと撫でた。
瞬間に胸が熱くなる。
ああ・・・・そうか・・・・、人に優しく触られるのって・・・嬉しくて気持ちいい物なんだな。
閉じていた目蓋をゆっくり開ければ、思っていた通りの穏やかで柔らかい四季の表情。
そっとそのまま顔を近づけ唇を重ねると離れる。
そしてすぐにまた重ね啄んで離し、喉の奥が焼ける様な感覚に悶えて声を発した。
「・・・っ・・・・キス・・・していいか?」
「・・・・・ふふっ、した後に・・・聞くんですか?」
「・・・・俺も訳が分からなくなってるんだよ・・・・・」
少し困った様な不機嫌なような、とにかく怪訝に眉根を寄せたと思う。
そんな俺の唇に四季が少し頭を上げると柔らかく重ねて啄んで離れる。
そのキス一つで不機嫌は表情から掻き消された。
魔女・・・・。
「望様とのキスは・・・・・好きです・・・・」
ふふっ・・・と、軽い笑い声を響かせた四季が大人びた少女の様に笑うのが扇情的だ。
キュッと締め付けられた胸の感覚に熱くなり、再び唇を重ねるとその眼を覗き込む。
「・・・・動いていいか?」
喋れば唇を掠める至近距離で言葉にし、四季の熱い頬をくすぐりながら反応を待つ。
だけど待つという程の間もなくそっと重なり離れた唇とかかる四季の息。
「私なんかで・・・望様が気持ちいいと感じるなら・・・・」
「・・・・・馬鹿か、」
呆れたようにその言葉を紡いで小さく笑う。
そうして再開させた行為に静かに柔らかくのめり込んでいくのだ。
馬鹿だな・・・終わりは必ず来るというのに・・・・。
終わりたくないとあがいて、引き延ばして・・・・。
このまま夜が明けないといいと思ってしまうなんて。
そんな願いも儚く。
目が・・・眩む・・・。
一瞬の快楽に貪欲になって、堪えていた分だけその効果が大きい。
脱力のまま四季の顔の横に頭を預け、そうして深く長く息を吐いてしまえば、
「あー・・・・ははっ、・・・・・まいった」
「・・・・・望・・・さま?」
確認するように俺の頭を撫でる指先に、僅かに顔を四季の方に向けてみるとすぐに絡むグレーに癒やされた。
長い・・睫毛・・・・。
思わず手を伸ばしそれに触れるように顔に手をかけると、反射的に目を閉じ声を響かせる四季。