暴君と魔女




俺の苛立ちを全身で感じているらしい四季が気づかって恐る恐る覗きこみその声を響かせてくる。


「あの・・・・素敵な叔母様ですね」


にっこりと心底そう思っている口調で言いのける四季に感情のまま睨みつければ「すみません」とその身を引く姿。


いや、四季が悪いわけじゃない。


むしろ別に非はない。


単に俺の心が狭いだけで、隠してきた宝物をあっさり見つけられ、しかも原石を勝手に加工されたショックがでかいだけ。


それでも自分が責められているように表情を暗くする四季に、さすがに罪悪感を感じ落ち着く様に息を吐くとその手を引いた。


クイッと軽く引き寄せると、やや怯えながらその顔を上げる四季に額を合わせる。



「・・・・・お前を責めてるわけじゃない」


「じゃあ・・・・、何にお怒りですか?」


「・・・・・・・・非常識な叔母に・・な」


「・・・・素敵な方でしたよ。望様を愛しておられます」


「・・・・・・違う、あれは・・・・母親ごっこをしたいにすぎない」


「・・・・・・・・・・・望様は・・・・・まだまだですね」



まだ理解していないと上から目線の物言いを見上げる形で言ってくる四季が困ったように微笑むのに、面白くないと顔を歪めてすぐに掻き消した。


駄目だ・・・・、


この装いの四季には今日は勝てそうにない。


諦めスッと滑らかな肌の頬に手を添える。



「・・・・・・癪だが・・・・・、今日のお前は本当に綺麗だ」


「望様、女性を褒めるのに【今日の】は無い方が好感度は上がりますよ」


「・・・・いつも綺麗だと言ってほしいのか?」


「いいえ、・・・・私ではなく他のお方の事です」



気がついているのだろうか?


さらりとお前が口にしたのは今の俺に猛毒だと。


じわじわと蝕む感情が苦しくて、一線を引いた様な言葉に打ちのめされる。


他の誰か。


つまり自分でない女にその言葉を使えと言っている様で、暗に俺に気持ちがないと伝えているのだろうか?


こうして触れているのにな、


いつでもその瞬間に消えてしまいそうで不安になる。


思わず細身の体を引き寄せ抱きしめると、抵抗なく背中に回った手に安心した。





< 129 / 207 >

この作品をシェア

pagetop