暴君と魔女
「・・・・望様?」
「・・・・・重いか?」
「いえ・・・そんなには・・・・・・・ただ・・・」
「・・・何だ?」
「・・っ・・・せめて・・・終わって頂けると・・・・」
「却下・・・・」
即答すれば四季が困ったように言葉を失うのに小さく笑ってしまった。
なんだか・・・力が抜けてしまった。
かといって欲が治まったわけでもなく未だ熱を持つ体をゆっくりと起こすと四季を見降ろす。
さすがに涙は乾いて大きなグレーが俺を見つめ返し反応を待って揺れ動く。
そんな四季に額を寄せると気まずいながらも今更な声をかけてしまった。
「・・・・・悪い。・・・・・・痛みしか与えてなかったな」
「・・・・・優しいと不気味ですよ」
「・・・犯すぞ」
「もう犯されているのに脅されても・・・・」
確かに・・・。
噴き出してくっくっくっと笑ってみれば、スッと伸びた四季の腕が俺の首に絡んで指先で髪を撫でてきた。
「・・・・・・でも・・・優しい望様は好きです」
また・・・・こいつは・・・・
「・・・・・四季」
「・・・はい」
本当に言う事やる事が一致していなくて訳が分からない。
俺を常に惑わす面倒な女だというのに・・・・。
「・・・・俺は・・・・
・・・・訳の分からないお前が好きらしい」
ああ・・・【勝った】・・・・、と、思った瞬間。
真顔でさらりとその言葉を落とせば最初きょとんとしていた四季がすぐに羞恥に染まって眉尻を下げる。
そう今更気がついた。
分かりやすく単純な言葉ほどこいつは追い詰められて怯むのだと。
好きとか嫌いとか・・・戯言の様でまず口にしなかった言葉をこの歳で言う事になるとは思わなかった。
しかもあからさまなこんなベッドの上での時間に。
だめだ・・・こいつ相手だと毒気も抜ける・・・・。
もう、何でもいい・・・・、とにかく今こうして・・・・俺の腕の中にこの存在はあるのだから。
「・・・おい、いつまで悶絶してる?」
「す、すみませ・・・だって・・・」
「こんなベッドタイムに言われた言葉を鵜呑みにして盛り上がってたら簡単に騙されるぞ」
「・・・嘘・・・なんですか?」
だから・・・何でそんな悲しそうな顔で確認取ってくるんだよこの女。
見事呑まれて即答出来ずに押し黙ると、それをどうやら悪い方に解釈したらしい四季が軽く目蓋を伏せ視線を落とした。
それに深く息を吐くと、四季の顎に指をかけ半ば強引に自分を見るように視線を向けさせる。
絡んだのは驚きのグレー。
馬鹿正直にドキリと跳ねた心臓に心で舌打ちして非難してから四季に言葉遊びの否定を返した。