【完】キミさえいれば、なにもいらない。
あんなに優しくしてくれたのに。


まるで、私のことを好きみたいな態度だったのに。


先輩がかけてくれた言葉も、あのキスも、結局全部ウソだったなんて……。


どうしてこんなに傷つかなくちゃいけないんだろう。


ただ私は、先輩を好きになっただけなのに。


先輩のことを信じただけなのに……。


私は裏切られたような気持ちでいっぱいで、絶望の底に突き落とされたような気分だった。


男の人を信じられなくなってしまった。


男なんてみんな、いつかは裏切るんじゃないかって。


恋なんてしても、結局は傷つくだけなんじゃないかって。


だって、あんなに誠実そうに見えた先輩が、裏ではこんなことを言っていたんだもの。


もう、何を信じたらいいのかわからなかった。


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