【完】キミさえいれば、なにもいらない。
なんて、あれこれ考えながら彼のことをじっと観察する私。


するとそこで、彼の手の下敷きになっていたノートになんとなく目がいった。


なんか、すごくたくさん書き込んであるけど、これ全部、今回のテスト勉強でやったところなのかな。


なんだかとても気になってしまい、悪いなとは思いつつも、そっとノートを手に取り、中のページをぱらぱらとめくってみる。


すると、そこには今回のテスト範囲の問題を解いた跡がたくさんあって。それを見たら、彼が同じところを何度も繰り返し勉強していたことがわかり、ひどく驚いた。


すごい……。こんなに勉強したの?


死ぬ気で勉強するなんて言ってたけど、ほんとに必死で頑張ってるんだ。


そこまでして、私と一緒にお祭りに行きたいと思ってくれてるのかな……。


そう思ったらなんだか胸が熱くなる。


どうして彼はこんなにも、私のために一生懸命になってくれるんだろう。


すやすやと寝息を立てる彼方くんを見つめながら、どうか、彼の努力が報われてほしいと、心からそう思った。


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