【完】キミさえいれば、なにもいらない。
「いかにも男子の字って感じだね」
「ねっ。あの顔で、字が下手なとこがまた可愛い。ねぇねぇ、さっそく何かメッセージ送ってみたら?」
「えっ!なんで?送らないよっ!」
「いいじゃん。『登録しました。よろしく』くらい社交辞令でしょ」
「えーっ?いいよ、別に私は友達になったつもりなんてないし……」
璃子は私に一ノ瀬くんとメッセージのやり取りをするよう勧めてくるけれど、私はやっぱり気が進まない。
だって、連絡先だって彼はいろんな子に教えてるんだろうし、これで私からメッセージなんて送ったら、それこそ彼に気があるみたいだ。
「でも、『ハンカチありがとう』くらい言ってもよくない?」
「うーん……」
するとそんな時、背後から急に人の気配がして。
「よっ、雪菜」