黒犬
布団へ寝かし体を拭く
真新しい痣がいくつもあった
新しいタオルがいくつも赤く染まった
これで綺麗か。
痣以外きれいになった肌
医者の手によって清潔な白い布がまかれ傷は見えなくなった
「随分コテンパンにやったな
こんなに酷いのは久しぶりじゃないか…」
医者は知ったような口を聞いた
「こいつに何か思い入れでもあるのか。」
「さあな…」
はあと医者は息を吐いた
「あまり無茶するなよ。」
ぱぁぁああああん
俺の脇腹を叩いて屋敷を出ていった
くっ……
着物に滲んだ紅いもの
放たれた銃弾がかすったものだ
「あら…
あなたが怪我をしているのを見るなんて
何年ぶりかしら」
妻まで驚く始末
傷薬を塗りガーゼを当て包帯を巻く
「やろうか?」
天堂もニヤニヤしながら部屋に入ってきた
「余計な世話だ…」
手当を終えた腹に手を当て眠った少年のそばに行き座る
銀色と黒のドッグタグを手にし目を瞑った
.