3月生まれの恋人〜first christmas〜
早回しでおでんを食べ終えた俺は
引き留めにかかる先輩を振り切って、彼女を連れ屋台を後にした
『おごちそうになってすみませんでした
すごく美味しかったです!』
歩き始めてすぐ、彼女は一旦足を止めると
深々とお辞儀をして俺にそう言った
食後ほどなく帰ろうと言い出した俺に、カバンから財布を取り出した彼女
この間のお礼に支払わせてくれという申し出をなんとか押しとどめ
反対に、商売にも関わらず奢ると言い張る先輩に、無理やり代金を支払った
そうしてやっと、ようやく手に入れた二人きりの帰り道
駅前の、イルミネーションの美しい通りを彼女の手を取り並んで歩く
少しづつ、夜が深まる度に寒さを増す街
『あっ!』
不意に何かに気がついたらしき彼女が、俺を見上げた
『ケーキ!ケーキ好きですか?』
見上げて来る大きな瞳は、拓海のそれと同じようにキラキラ・・・で
甘いもの、実はあまり得意じゃないくせについつい頷いてしまう俺
彼女は、そんな俺に満面の笑みを浮かべると、先にあるケーキ屋を指差して
『ケーキ、あたし買ってきますね!』
と、言い残し走り出した