この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
第1章

淡い恋心


「わっ、時間ギリギリ!」


梅雨が明け、強い日差しが降り注ぐ朝。

髪形が決まらなくて洗面台の前でもたもたしていたら、もう家を出る時間になっている。


昨日、雑誌で『ゆるふわ大人の三つ編み』なんていう特集を読んで、せっかく胸までの長さがあるんだからと、真似したくなった。

どうやら結んだあとに、わざと毛束を引っ張り出して緩く仕上げるらしいけど、もともとストレートのせいか、何度やり直しても程よいふわふわ感が出ず、“失敗した三つ編み”になってしまう。


「里穂(りほ)、俊介(しゅんすけ)くん呼んでる」


リビングから母の声。


「わかってる。行ってきます!」


呼びに来てくれた関戸(せきど)俊介は、私・西崎(にしざき)里穂の幼なじみ。

生まれたときから隣に住んでいる同級生。

しかも、成績も同じくらいで、同じ高校に入学して三カ月が経った。

今年に至っては同じクラスという驚くような偶然続き。
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