この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。
「川島。病院にあんまり大勢で押しかけるのはよくないって。川島たちの気持ちは伝えておくから、やめておこう。稔も元気がない姿なんて見られたくないだろうし」


困っていた私にすかさず手を差し伸べてくれたのは俊介だった。


「そっか。そうだよね」


多香美も納得してくれたようだ。

だけど……いつまで隠しておけるだろう。
そんなことをふと考えた。



そしてその日も、俊介と一緒に病院と向かった。

八階に到着すると、バタバタと看護師さんが走り回っていて、首を傾げる。
なにかあったのだろうか?


「鎮静剤用意して!」


看護師さんがナースステーションに向けて大声で叫びながら駆け出してきた部屋が稔の病室だと気がついた私たちは、顔を見合わせ走り始める。


イヤ……。

最悪の事態が頭をよぎり、体が震える。


「出ていけ!」


すると稔の怒りに震えるような声が廊下まで響いてきて、ドキッとする。

稔がこんなに取り乱すなんて初めてのことで、胸騒ぎが止まらない。
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