たった7日間で恋人になる方法
『えっと…も、萌…?いやいや無理だ…やっぱり、無理でしょ』
『拓真君、意識しすぎだよ?美園だって、”萌”だもん、友達と一緒だよ?』

私の強引な押しに、観念したようにうなだれると、小さな溜息と共に『萌…さん』と口にする。

『ごめん…とりあえず、慣れるまでは”萌さん”で…良いでしょ?』

よほど恥ずかしいのか、テーブルの上に両肘を置いて手を組み、そこに自身の額をつけて上目遣いでこちらの様子を伺う。

『もちろん、今日はいきなりだもん、慣れるまでは仕方ないよ?先ず、お互いその呼び名で、行こう!』

しぶしぶながらも、時枝君の了承を得て、一応今日クリアすべき目標は、達成できた。

若干、目の前で、半端なく疲労感漂わせてる時枝君を見ると、少し心が痛むが、これも期間限定。

たった一週間だけのこと。

時枝君には悪いけど、ここまで来たら最後まで付き合ってもらうしかない。

『それじゃ時枝君…じゃなかった、拓真君、成功を祈って、もう一回乾杯しよっか?』

タイミングよく、先ほど注文した飲み物が運ばれてくると、できるだけテンションを上げて、ウーロン茶を持ち上げ、かたや、グラスを持ち上げる気力さえ失っている様子の拓真君のグラスに、自分のグラスを軽くあて、軽快な音を響かせた。
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