トラウマの恋
そうしてやっと約束の日。

「茅菜!こっち。乗って!」


「はい、どうぞ。」

茅菜の好きな
コーヒーショップの飲み物を手渡した。

「ありがとう、ございます。
あっ!お金!払います!」

財布を取り出そうとする手を押さえる。
こんなコーヒー一杯くらい奢らせてくれよ。


「いいって、
これ、来てくれたお礼だし。

てか敬語やめてよ。何か違和感。」

「じゃあありがとうございます。
いえ、これくらいで丁度いいんです。」


丁度いい、か。
すごく距離を感じた。
まだまだ茅菜の心には届かない。


「…あっそ、わかった。
相変わらず変なところ頑固だなー。」



ふっ、と無意識に笑ってしまった。
付き合っていた時のことを思い出した。
そして今茅菜が俺の隣に乗っている。

このままずっとこんな時間が
続けばいいのに。


なんて。

横を見ると窓の方を向いて寝ている。
ほんとどこでも寝れる。
俺はこんなに狡い手まで使っているのに
お人好しの茅菜には敵わない。


「…菜、茅菜ー。おーい、起きろー。
着いたぞー。」

肩を少し揺すると目を開けた。

「ごめんなさい。
ちょっと寝ちゃってた。」

「久しぶりに見たよ、茅菜の寝顔。
今日大丈夫?やめとく?」


「大丈夫です!ほんとごめんなさい!」


本当に彼女は優しすぎる。
一生懸命謝る彼女に
ふっと笑みがこぼれた。

バレてないよな。
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