みだらな天使
「おっ、寝ぼすけ。やっと起きたか〜。」
朝からやたら爽やかな朔の姿にホッとする。
そんな朔の手には、コンビニの袋が。
「…今日、仕事は?」
「ん?あれ、言ってなかったか?今日は休み。お前ぐっすり寝てるからさ、朝メシ買いに行ってきた。」
そう言いながら、キッチンにサンドイッチを並べ始める朔。
「今インターホン鳴って…モニター見たら、朔の会社の秘書さんだったと思うけど。」
「え?七海??俺がエレベーター乗ってから来たのかな。下では会わなかったけど。仕事トラブったのかな?…ったく、休みの日くらい休ませてくれよなぁ。」
朔の口調からして、七海さんの訪問は想定外の出来事だったのだとわかった。
その瞬間、身体中の力が一気に抜けた。
「大体、ここに来る前に電話しろっての。奏もそう思わない?………奏?」
なんで涙が出るんだろ。
ほっとした安堵の涙なのか、何なのか。
自分でもよくわからず、涙がどんどん溢れてくる。
「…奏、ごめん。」
「な…んで朔が謝るの…?」
朔が私を優しく抱きしめる。
この瞬間が、最も安心する瞬間だ。