短編集 【ストーカー】
やがて駅前広場の時計台まで進むと、
前を歩く妹が小走りに変わった。
そしてその右手を上げ手を振っている。
「ごめん!お待たせ。」
「大丈夫。俺も今来た所だから。」
・・・・・・ほぉ。
妹は早速その左腕に自分の右腕を絡ませながら、
自分より背の高い彼氏君を見上げて嬉しそうに笑っている。
待ち合わせに先に来ているのは好ポイントだな。
男だったら待たせるんじゃない。
黙って待つものだ。
それに、どんなチャラチャラした奴かと思えば、黒髪がカッコいい実に爽やかそうな青年だ。
・・・・第一印象は合格って所だな。