短編集 【ストーカー】
顔も、名前も、性格も分かった。
あとは、君の家の場所だけ教えて貰うよ。
・・・デート中は妹に合わせてゆっくり歩きしていたけど、
自分1人だと結構歩くペースが速いな・・。
見失わないよう俺も少しスピードを上げる。
君が心の優しい人間だって言うのは今日1日の2人を・・・妹の仕草や表情を見ていればよく分かった。
思わず、「ありがとう。」と声を掛けたくなる場面もあったが、
カップルという関係性は強固に見えて、
明日には何が待ち受けるか分からないほど脆いものでもある。
万が一妹が悲しみの涙を流す日が来ようなら、俺は真っ先に君の目の前に現れるぞ。
彼氏君が一人暮らしをしているアパートまで後をつけ終わると、
アパート名とこの辺りの地図を頭の中で浮かべて、俺も今日の活動を終える。