だから何ですか?Ⅱ【Memory】
「あいつは・・・いなさそうですね」
「亜豆なら16時半少し前に帰宅しましたよ」
「はっ?」
「30分分は明日残業すると言って急いだ感じに出ていきましたけど」
「・・・・・・そうですか。ありがとうございます」
なんとか形として会話は成り立たせたけれど頭の中は軽く困惑している。
それでも礼儀として頭を下げ、くるりと向きを変えるとすでにてんやわんやの自分相談会。
議題、
どこ行きやがった亜豆ぃ!!
と、若干腹正しい感情ありきの戸惑いで、再度携帯を取り出しても連絡はない。
本当にふざけんなよ。
まさか忘れたなんてことは・・・ない、だろうな。
忘れて帰ったっていう様な帰り方じゃない。
むしろ何か用事あっての早退なんだろうし。
多分俺との約束を反故する気も遅延する気もなかったんじゃないか?
むしろ約束があったからこそ早退し、用事を済ませて約束の時刻には俺と会うつもりだったんじゃ?
だとしたら・・・亜豆と一緒に居れていない今は不自然な事となる。
そんな予測の結論が打ち出されれば予測に過ぎないのにどこか嫌な悪寒が走る。
緊張の糸が張って、無意識にギリッと奥歯を噛みしめていた程。