幸せの種
「穂香先生、いい人過ぎるよ……」
わたしが呟くと、琉君もうなずいた。
「まあ、離れるけれど、市内にいるし、学園の行事は一緒だ。それと、今は高橋先生がさくらハウスにいることが多いって聞いているんだ。多分、大学に近いせいだろうけど」
「そうだったの!? だからこっちではあんまり会えなかったんだ」
「働きながら大学院に通って勉強するって、凄いよな。ああいう大人になれたら良かったんだよ、俺の親父も」
「でも、琉君はお父さん似だから頭がいいんでしょう? うらやましいよ」
思わずそう言ったら、容赦ないデコピンが飛んできた。
「いい頭を持っていたとしても、インプットしなきゃ使えないんだよ。だから千花もここでできることを頑張れよ! 応援してるから」
「うん! 頑張る。手始めに人権作文を完成させたんだから。すごいでしょ? ちゃんと先生に言われた通り、三枚書けたもん」
琉君へ見せたら、じっくり読んでくれた。
そして感想をひとこと。
「ホント、残酷なことって多いよな。でもそれを逆手に取ってネタにしてやる位の勢いで生きていこう」
と。