幸せの種


結局、おばあちゃんの家には園長先生と穂香先生が一緒に行ってくれた。

事前に連絡していたので、母子手帳はスムーズに渡してもらうことができたということだった。

そして、母子手帳と一緒に、一通の封筒も手渡されたそうだ。


ママが使っていたバニティケースの底に、ひっそりと隠されていたそれは、私の妹が見つけたということだった。

あの時一緒に暮らしていた妹は、乳児院に保護され、子どもを欲しがっていた里親さんと養子縁組して幸せに暮らしていたらしい。

養父母と妹がこの家を訪れた時、ママの持ち物の中から自分が小さい頃遊んだものを探しているうちに、私宛の手紙が発見された。


妹が幸せだったと聞いて、心の底からほっとした。

そして、私は母子手帳の予防接種の欄を確認し、六歳までに受けなくてはならない全ての予防接種はきちんと受けていたことを知った。

怖いおばあちゃんだったけれど、病気の時だけは優しかったことも思い出した。


ママからの手紙と共に、おばあちゃんの優しさも受け取ることができた。

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