好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】

「今は、というだけで、恐らく過去には、海雨には妖異が憑いていただろう。それが何らかの理由で海雨から離れたか、朽ちた。そして、それはある程度力の強いものだったために、残滓――気配の残り香みたいなものが、まだ海雨にまとわりついている。その所為で病は回復しないのだろう」

「それは……取り払う? みたいなことは出来るの? 海雨が、せめて退院出来るくらいには――」

「そうさな。やり方で言えば、浄化が一番いいだろう。本体はもう海雨の中にも影にもいないから、残ってしまった気配だけを浄化すればいい。だが、問題点もある」

「問題?」

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