好きになった人は吸血鬼でした。-さくらの血契1-【一人称修正ver.】【完】

「海雨は現在ドナー待ちなんだろう? 長いこと瘴気(しょうき)――妖異の気配にさらされていて、身体は弱っている。ああ、回復のまじないもかけられるから、命の心配はしなくていい。ただ、臓器が弱っているのは少々厄介だ」

「それは、浄化がうまくいっても、ドナーは必要だと言うこと?」

見上げる私に、白ちゃんは厳しい面持ちで告げる。

「それは、どれだけ上手く浄化が出来たかによる。身体の中の隅々まで、妖異の残滓が取り除ければ臓器への障害も薄れるかもしれない。だが、失敗すれば……」

「………」

その可能性の続きは聞きたくない、と思い黙った。

白ちゃんはそれも察してか、口にはしなかった。

「依頼者は真紅だから、真紅の意見にもよるが、俺か黒が請け負うことになると思う。俺はともかく、黒なら失敗はない」

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