陽華の吸血鬼①【一人称修正ver.】【完】
「……条件?」
私が訊き返すと、白ちゃんの足が停まった。つられて、私と架くんも。
「一つは、誕生日を無事に迎え生来の力を取り戻し、かつコントロールすることが出来ること。大きな力は、扱い切れずに暴走して、術者本人を殺してしまうこともある」
「………」
「二つ目は、陰陽師としての訓練――鍛錬(たんれん)とも言おうか、修行を受けること。真紅は小路の血筋だから、小路流の陰陽師となること。それから――」
不意に白ちゃんは、言葉を切った。私はただ、見上げる。
白ちゃんの瞳が、三日月のような鋭さで見返して来た。
「……陰陽師となって知ったことを、墓場まで持って行く気概があるかどうか、だ。伴侶や親と言えど口にしてはならない依頼を、多く受けるのが陰陽師だ。依頼の内容や結末に心を痛めても、その理由は誰にも話してはならない。悟られてもならない。口に出して辛さを緩和することは、俺たちには赦されない。……それでも、望むか?」
白ちゃんの厳しい言葉に、私は思わず喉をひくつかせた。