大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
私はじっとりと大王の腕の中から大王を睨む。

大王は悪びれもせず、

「アヤ、そろそろ起きよう。」

と言った。

どの口がそれを言う!?
と口元まで出かかった言葉を飲み込み、

「はい。」

とだけ答えた。


母も兄も妹も、すでに先に起きて朝餉の支度をしてくれていた。

大王の腕の中でぐっすりと眠った私は、朝餉の羹をお代わりした。

そんな私を見て、大王はとても満足そうに微笑んでくれた。


朝餉を終えると、私たちは家族に見送られて桑の里を後にした。

香久山に向かう馬上で、私は、大王にお願いをひとつした。

「大王。」

「なんだ?」
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