大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
大王は、私だけでなく、私の家族の事も考えて気遣ってくださる。

「ありがとうございます。」

「明日は、俺と一緒に会うといい。」

「はい。」

私は大王の心遣いが嬉しくて、甘えるように大王の肩に、ことん…と頭を預けた。

「大王…」

「なんだ?」

「重くはありませんか?」

私が尋ねると、

「ははっ…
うん、前よりは少し重くなった。
だが、大した事はない。」

大王はその逞しい腕で、私をすっぽりと包んでくれる。

そのまま無言の時が流れる。

互いの体温と鼓動を感じながら、無言でも構わない信頼関係が、そこにあった。

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