大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
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翌日。

私は大王の隣にいた。

大広間に献上品を持った使者が並ぶ。

順番に口上を述べて献上品を納めていく。

桑の里の番が来た。

「大王、お妃様におかれましては、ご機嫌
麗しく何よりでございます。
本日は、桑の里より絹織物20反をお持ち
しました。」

口上を述べる兄の横に、ハヤ!!

っていうか、20反!?

母ひとりでそんなには織れない。

「あの…」

口を開きかけて、大王を見る。
大王は優しく微笑んで頷いてくれた。

「20反もどうやって織ったのです?
織り手はひとりではありませんでしたか?」

私が尋ねると、兄が答えた。

「今年13歳になった妹が手伝ってくれて
おります。
その下の11歳の妹も麻を上手に織れるように
なりましたので、来年の夏からは、絹も
織らせてみようと母が申しておりました。」
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