THE FOOL




Side 雛華




「・・・・・芹ちゃん・・・眠っちゃった?」



何かを言いかけて不動になってしまった彼女に一応声をかけて反応を待つも、返されるのは小さな寝息とそれによって上下する体。


自分の腕の中で小さくなりヒナ鳥の様に身を任せて眠る姿を確認し、小さく跳ねあがった心臓が何を感じてなのか疑問を寄せる。


それでも思ったのは。


『可愛い・・・・』


その感情で再び抱きしめその存在を確認するように頭を撫でた。


触れてる。


触れたくて、触れたくて・・・・・触れている。


普通なら成し遂げた時点で満たされるのが欲求。


なのにこうして触っても触っても満たされず、逆に触れれば触れるほどもっと深く強く触りたくなっていく。


そうして求めて手探りで色々な方法で触れてみてもそれは埋まらなくて。


でも一瞬・・・。


そう一瞬だけ・・・、少し満たされた。


不意に、無意識にも触ってしまった彼女の胸。


あの瞬間に彼女の秘密の一つに触れた様な感覚になって、一つ深い部分に触れた気がした。


だけど同時に感じた背徳感と罪悪感・・・。


もっと言えば・・・・厄介な感情も。



「・・・・・寝てるし・・・・とか言って・・・、触ったらやっぱダメなんだよなぁ」



ぽつりと漏らした本音。


あの感覚がなんなのかもう一度感じてみたいと思っても、寝ている彼女にするのはさっきとは何かが違うと思ってしまう。


こう、感情面やその場の空気も、あの時はなんだか独特のそれが伴っての事だったと思う。


それはあの感情や場面に類似するものなんだろうか?


チラリと今は何も映し出していない黒い画面を見つめてしまう。


俺だって別に初めて見たわけじゃない。


茜に付き合わされて何度か見たことはあるけれど大して興味の湧かなかったそれ。


女の子は基本柔らかいし可愛いから好きだ。


でもそれ止まりな俺の感情。


だから映し出される行為もしてみたいとも思わず、しなきゃいけない場面がきたら面倒だとさえ思っていた。


だけど・・・・、


少しの理解。



ああ、あの行為は・・・・触りたいの延長にある物なんだな。




< 115 / 118 >

この作品をシェア

pagetop