難病が教えてくれたこと
第12話
【如月李那side】
さあ今は秋です。
スポーツの秋です。
蒼空の試合がもうすぐあります。
『もし良ければ見に来て欲しい。』
蒼空のあんなに真剣な顔を見たのは初めてで思わずドキリとしてしまったよね。
「李那、こら!」
最近裕くんが過保護になりました。
大丈夫なのにあんまり1人で歩かせたくないみたい。
「大丈夫なのにい〜」
なるべく裕くんの勉強の邪魔にならないようにしたいのになあ…
「李那は大丈夫かもしれないけど、俺が大丈夫じゃないから辞めて。」
今は裕くんのお部屋で勉強会。
介護の勉強なんて私が分かるわけないのに呼ばれたから来るしかないよねえ〜
「じゃあ迷惑かけるけどあの本取って。」
ソファに座る私は暇を持て余していた。
「分かった。
これ?」
勉強したいのになんで私ここに呼ばれたんだろう。
謎でしかない。
と思ったけどそうでもなかった。
裕くんは確かあんまり勉強出来ないんだ。
かと言って私が介護の話なんか分かるわけないでしょっ!
「李那の百面相面白すぎ。」
「え、顔に出てた?」
「うん。久しぶりに笑顔以外見た気がする。」
…あー
確かに最近笑ってばかりだったなあ。
あんまり感情暴走しないように抑えてたんだっけ。
おかげで美那に睨まれるし…あーこわっ。
我が妹は恐ろしゅうございます。
「この本のシリーズだと次はこの本がいいと思うから置いとくな。
呼んでくれたらまた取るから。」
「はーい。ありがとう。」
…かなり分厚い本だなあ。
読み切りたい。
さっきまでも読んでたけど、面白いから直ぐに読み切ってしまいそうで怖い。
今から私は本を読もうと思ってます。
なのに携帯がなるとどうして中断してしまうんだろう。
…蒼空かよ。
海澪からも来てた。
全然気づかなかったよ〜
携帯触らない時はとことん触らないから。
…んー、今携帯見てるし、返すか。
『李那〜元気してる?
また遊びに行くね!
ところで蒼空の試合の件だけど…』
蒼空の試合なあ…
行きたいのは山々だけど、松葉杖邪魔にならないかな?
歩く人の迷惑にならないか心配…
『また来てきて〜
蒼空の試合の件はまた考える!
明日かそこらに私の家で予定立てる?』
海澪からの返事は早い。
私より早い。絶対に。
『おっけ!分かった!明日行く!』
…やっぱり早い。
『りょーかい。
じゃあまた明日待ってるね。』
とりあえず海澪との会話を終わらせて次は蒼空だ。
なんの用だよ全く。
『俺ポーキー使えるようになった。』
…なんて返せばいいのかわからないんだけど。
無視したらダメなやつかな。
『試合でも使うの?』
私にしてはなかなか気の利いた返信だと思う。
『そのつもり。
だけど今腹痛くてそれどころじゃない。』
…腹弱かったもんな。
それは緊張とかもあるんじゃないの?
蒼空プレッシャーに弱いから。
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